ありがとうございます♪
バナーのお礼に頂いたssです。(たくさん頂いてしまっていて恐縮です)
「仮装パーティー」  彩雲国物語 二次創作小説

 今日の宮城は、 南瓜の灯籠が、明るい。
 飾ってある花束の諸々は、楸瑛からの差し入れ。
 そして、楽師の音楽ならまだしも、珍しい鄭悠舜の調べが辺りを流れている。
 二胡の音は、夜に映える。
 ところが、いつも以上に煌びやかな格好した劉輝は、冴えない表情をしていた。
 それというのも、くそ爺のせいで、後宮に足止めをくらったからである。
 たまには女官達の労も労ってやりませんとなあ。
 …確かに、そうだ。
 ただ、何も同じ日でなくても。
 秀麗が、?娥楼のハロウィンパーティに誘ってくれた日が、後宮の宴と重なるだなんて。
 秀麗は、絳攸と楸瑛も誘ったと言う。
 はあ。
 後宮の池を灯籠が囲み、座が用意されて、私服のままの女官達が、飲んだり食べたり、
 おしゃべりをしたり。
 無骨な武官ではなく、給仕をしているのは、そこそこ名家の文官達だったりする。
 王の命令ではなかった。
 後宮の女性とあわよくばと、そんな役を買ってでたのだろう。
 珠翠の代わりに、劉輝の横には十三姫の姿がある。
 「あーあ、私も秀麗ちゃんのとこに行きたかったかも〜」
 「すまぬ。しかし、十三姫以外に又新たな女人を入れてたくはないのだ」
 「はいはい。そこそこ仲がいいと思わせておいてあげるわよ。
 あの小ぶりの魔除けかぼちゃ、秀麗ちゃんにお土産に包んでおけば?」
「秀麗は実用品のほうがいいのだ」
「…じゃあ、実入りのでかい奴、後で届けておこうかしら」

 ふぉっ、ふぉっふぉ。
 気を利かせて、席を離してはあるが、羽羽は喜んでいる。
 この宴は、羽羽の提案だった。
(まずまずですじゃ)
 劉輝はそれなりに十三姫を気に入ってるのが分かれば、あとは押すだけ。
 安心して、お酒をちびりちびり。
 無礼講の宴は、女官達も楽しんでいる。



 --------一方、?娥楼では。
 仮装をした人々が、沢山集まっていた。
 秀麗も仮装パーティだと聞いていたので、 胡蝶に選んでもらい、
貸してもらったものを着替えている。
 楸瑛は自前だったが、絳攸も衣装を貸してもらったようだ。
 吸血鬼のマント。
 「秀麗…へ、変か?」
 「いいえ、かなり似合ってますよ」
 なんと邵可も珠翠といた。
 まだストレートに聞いた事はないが、もしかして父様の事が好きなのかしら…と
 今は薄々気づいているので、胡蝶が気を利かせてくれたのだろうと思う。
 「え、もしかして。あれは」
 ところが、さらに驚く事があった。
 玖琅が屋台をしていた。
 (お、叔父様…なんで)
 「邵兄上の頼みだ。邵兄上は、料理は駄目だからな」
 じゃーじゃー。
 ぐう、きゅるきゅる〜。
 庶民の焼きそばでも、玖琅が作ると一流料理に早替わりになる。
 「美味しいです。あ、お金」
 「金は要らない。招待客は券を見せればいいそうだ」
 「じゃあ、無料なんですね。叔父様」
 「ああ、せいぜい楽しんでくるといい。それから…」
 「玖琅様、こんばんは」
 「おや、玖琅。ほんとに来たんだね」
 「それから?」
 「仮装して来た者で一番凄かった者は、味噌と米俵を蔵から、お持ち帰りし放題だと」
 「ああ、それは私も聞きました」
 「絳攸はシャイだからな…それでは無理だろう。
 邵兄上、なんですかその黒づくめの格好は。伝説の黒狼じゃあるまいし」
 ぎく。
 「邵可様、あ、あちらで、綿飴をもらいましょう!」
 「う、うん」
 ?
 「叔父様、私はどうなんでしょう」
 「秀麗は魔女だな? …手にしてるのがお重箱でなければ、な」
 はっ。
 反射的に手を引っ込めたが、最早、ご飯代を浮かせようとしたのがばればれである。

 ぴーひょろろー。
 そこへ、龍蓮が登場した。
 「りゅ、龍蓮!! 良い所へ〜」
 「? おお、心の友ではないか。
 妓楼に興味は無いが、やはり運命の赤い糸で結ばれているのだな。さすがは心の友よ」
 ぐいぐい。
 結果、彼は仮装してはいないものの、奇抜な衣装が相変わらずだったので、
 見事に優勝をさらう。
 「そういう事なら、喜んで心の友にこの景品は渡そう」
 第二位は魔法使い楸瑛。
 しかし、彼の人気が霞む程、今年は?娥楼で新たな龍蓮伝説が出来たと言う。

 静蘭は静蘭で燕青と臨時収入をどこからか調達しており、
 相変わらずの彼らなのでありました。 

 おしまい。
† 管理人より涙の感謝
 ハロウィーンを楽しむ秀麗達というのは、パロディーならではの楽しみですね。
 素で優勝をかっさらう龍蓮の衣装が大変気になります。。。
 吸血鬼と魔法使いな双花菖蒲のお二人は描いてみたい気もします*^□^*
 長月さん、ありがとうございました!                  (07.10.06)


長月さまより、バナー作成のお礼にと頂いたフリーssです。
「林檎」  彩雲国物語 二次創作小説

 静蘭、はい。あーんして」 
 風邪をひくと、秀麗はうさぎをつくって食べさせてくれた。 
 そして、彼が宮城勤めになってからは、たまにお八つに持たせてくれた。 
 それなのに、此処久しく其れが見られない。 
(清雅め) 
 静蘭が先に帰ってくるのが増えたのは仕方ない。 
 それでもこのつけはどうやって払わせてくれてやろうか。 
 ぶつぶつぶつ。 
 一人な事をいいことに、台所で黒い静蘭が発生している。 
 どんどん。 
 そこへ、奇妙な客が来た。 
「姐さんから、届けもんです」 
 ?娥楼の子分の一人だ。 
 見れば、籠にわんさかと蒼林檎と三匹の林檎うさぎ。 
 添えられていた文には、 「私も料理できるのさ」だった。 
 「では、今日はこれをデザートにしましょう」 
 「やりぃ!」 
 「タンタン君…いつの間に来たんです」 
 「今の間。だってこのうち、門番いねえじゃん」 
 「静蘭、ただ今〜」 
 そこへ、ひょっこり帰って来た秀麗。 
 「あら、林檎? 最近、晏樹様と桃ばっかだったから嬉しいわ」 
 しゃりしゃり。 
 貴重なうさぎはタンタンには出ませんでしたが、 彼が父親にもあげたいというくらい、
 かなり美味しい林檎でした。 
 「持ってっていいわよ。いつも愚痴聞いてくれる御礼に」 
 隠しているうさぎに気づいた秀麗は、 タンタンと其の父へは自分で、細工して渡しました。 
 「お嬢様、なんでタンタン君にうさぎをやるんです」 
 「だって、見たこと無さそうだから」 
 その後、邵可が帰って来た。 
 そして、三人で一緒にうさぎを食べながら、 清雅より、タンタンのほうが、やはり邪魔だ。 
 彼は笑顔で次の報復を考えることに頭を切り替える事にしたのだった。 

 おしまい。
† 管理人より涙の感謝
 長月さま、ありがとうございます。
 私自身、ウサギ林檎は、フツーにワクワクしてしまいます。
 自分のために誰かがウサギに林檎を剥いてくれるなら、更に幸せ感じますねv
 タンタン・・・ウサギを隠し持っていたなんて可愛い・・・と思うのに、
その後の報復を思えば哀れでなりません。
 どこまでも不憫な男・・・(涙 

 UPが遅くなりすみませんでした。                         (07.09.01)


長月さまより、誕生日のお祝いに頂きました。
誕生日の夕食がインスタントラーメンだったわびしい私に(T T)
大変嬉しいプレゼントです!!
彩雲国物語 二次創作小説
   
「いつも父様の日は、お天気ね」

 晴天の中。
 そろそろ、春の人事も人段落付いた頃。
 秀麗は、父親の誕生日に腕を振るう為、大きな市が立つ町まで、足を向けていた。
 ところが、そこの町中で、藍将軍を見かけた秀麗は、目を丸くした。
 いつもの彼からは縁が無さそうな質素な服装をしていたからである。
 もしやお忍び?
 声をかけるべきかどうか、悩む秀麗。
 しかし、彼のほうで、秀麗に気が付いた。

 近づいてくる楸瑛。
「おや、見られてしまった」
 女官達や妓楼の女人と戯れる楸瑛とは、なんだか様子が違う。
「贈り物を選んでいたんだよ」
 手に持ってるのは簪。真摯な眼差し。愛情が滲み出ていそうな柔和な笑み。   
 その表情につられて、にこりと笑う秀麗。
 誰に?と野暮な事は聞かないでおこう。
 数多の女性付き合いは、絳攸様との許されない恋の隠れ蓑でしてよ。
 珠翠が言ってた事を真に受けたわけではない。きっと本命がいる。
 それは誰にも伏せているに違いないから。
 ただ、どんな人なのだろう? この藍将軍が愛する人は。
 秀麗はそう思う。
 今のところ、彼の恋は実ってはいないようだけれども。
 彼の笑顔を見れば、遠くから見つめる幸せも悪くはないのだろう。
 誰かの幸せが、別の誰かの幸せに続いてるのだから。

「それで、秀麗殿は、何故此処へ?」
「今日は父様のお誕生日なんです」
「ほほう、じゃ、特製献立だね」
「ええ…なんなら、今からうちにお寄りになりますか?」
「いや、やめておこう。邵可様には、宜しく伝えておいてくれるかな。
 最近、羽林軍の訓練で忙しくてね。ご無沙汰なんだ。お誕生日の贈り物、何がいい?」
「父様は、贈り物を私と静蘭からしか受け取らないんですよ。玖琅おじ様の贈り物は、
身の回りものだけですし」
「実に控えめな方だ」
「私達が幸せなら其れでいいって。このまま珠翠も行かず後家かしら」
「はは。珠翠殿の本命、秀麗殿も知っていたんだね」
「父茶を知ってる女官なんて、珠翠だけでしたから」
「確かに、あの飲みっぷりは見事だった」
 二人一緒で宮城の庭で見たのは、珠翠と邵可。
 彼はいつもは府庫から動かないのに、彼女と梅林を散策していた:
 秀麗は、昔からの知り合いとしか映らなかったが、そういえば邵可は彼女が刺繍してた
手巾を持ってたことに思い当たり、彼女の想いを感じたのだった。
 「珠翠殿も片思いを貫くんだな」
「それでも贈り物を?」
「ああ、贈るね。あの方が存在してくれるだけで、私には救いだ。
それに誕生日でないと贈る機会もない。チョコの日に来ないのに、ホワイトデーというのもないだろう」
「…では、今日はこれで。いいものが見つかるといいですね」
「ああ。人が多いから、気をつけるんだよ」
「静蘭と途中で待ち合わせしてますから、大丈夫です」
「そうか。じゃ、また。秀麗殿」

 誕生日。
 ありがとうを、あなたに。
 例え、贈り物を受け取ってもらえずとも、心が届きますように。
 楸瑛は藍邸へ急いだ。
 彼女が生まれた時刻きっかりに、花を添えて出すためだ。
「また、今日が来たね」
 庭の花菖蒲だけが、楸瑛の呟きを拾う。
 あの方に縁の或る藍色。
 自分の家は嫌いだが、なんとなく、この実らぬ恋を見守っていてくれる感じがして、
 楸瑛は安心するのである。


 おしまい。
風の王国 二次創作(現代版)
 〜 薄 桃 〜

白い雲が流れる。
 明るい春の光が差し込む。

 新品のおろし立ての一張羅姿。
 リジムと翠蘭は、ラセルを連れて歩いて行く。

「晴れて良かったね、お母様、お父様」
 うきうきしたラセルの足取りとは別に、翠蘭の足取りはやや遅い。
「リジム、どうかな」
「似合ってるよ」
「うーん」
「大丈夫だ」
 翠蘭が、当日になっても彼に聞いているのは、彼女の格好だ。

 今日は、ラセルの入園式。
 ラセルとおそろいのベレー帽は朱瓔の手作りである。
 其れに合わせて、彼女が着ているのはリジムに先日買ってもらったもの。
 いつもは色が濃い服を着てるのに、今日の服は薄桃色。
 見た瞬間に可愛いと思ったが、翠蘭は自分に似合うだろうかと心配している。

「翠蘭は、そのままでも充分可愛いさ」
 翠蘭は顔が火照った。どうして、リジムはこんな台詞をすらすら言えるのだろう? 
 ふわふわとして、夢にいるような錯覚をしてしまいそうだ。
「ああ、リボンがとれそうだ。ほら、結んでやる」
「…」
「翠蘭? ほら、ラセルが止まったぞ」
「ああ、ごめんごめん。今行くよ」
 門の中に駆け込む二人。
 折角身分を隠してても、バカップルぶりは隠せなかったらしい。

 門の外で待機してた、お抱え運転手のサンボータは、
 式を終えて、戻って来たラセルから、この話を聞くなり、後で大笑いをしてたそうな。


 おしまい。 
† 管理人より涙の感謝
 長月さま、本当に有難うございました。
 『彩雲国物語』と『風の王国』の二つも頂いてしまって忘我の喜びで一杯です!。
 リクエストさせて頂きました『彩雲国物語』で“贈り物”というお題は
 ステキに調理してありました。
 藍将軍好きです〜!!普段周囲を茶化すところも、結構世話焼きで責任感の強いところもvv
 1点だけでも素敵な物語に大満足でしたのに、さらにはサイトの『風の王国』のSSまで
 プレゼントして下さるとは・・・!(素直に頂きます♪
 こちらは翠蘭がベレー帽・・・というイメジだけでメロメロです。
 きっとかわいいでしょうね。
 
 本当に有難うございました。
 今後とも、拙サイトへ遊びに来てください! (06.05.19)